9認識論

2020年7月2日

第九章 認識論

認識論は、認識(Erkenntnis)についての様々な根本問題を解決しようとする哲学の一部門として、客観についての知識がいかにして得られるか、またいかにして正しい知識が得られるかということに関する理論をいう。すなわち認識の起源、対象は何であり、認識の方法と発展はいかにしてなされるかなどを明らかにする理論である。

認識論の英語であるepistemologyは、ギリシャ語の知識を意味するepistemeと、学問を意味するlogiaを結びつけた言葉で、フェーリアー(J.F. Ferrier, 1808-64)が初めて使用したといわれる。

また、ドイツ語のErkenntnistheorieはラインホルト(K.L., Reinhold, 1758-1823)によって使われた言葉であるといわれている。

認識論は、すでに古代および中世の哲学においても存在していたが、近世に至り、人間性の回復や人間による自然への主管の高まりとともに、哲学の中心的な課題として登場してきた。そして、存在論と並んで哲学の主要な部門を形成するに至ったのである。

すでに言及したように、統一思想は多くの現実問題を根本的に解決することのできる基準をもっている。特に今日に至って、認識論に対する研究熱が次第に冷えていき、認識に関する問題は哲学の領域から医学の領域に移されたような印象を与えている。しかし、医学がその問題を完全に解決したかというとそうではない。医学が認識の過程に対する生理学的基礎を確立したという点で、認識に関する問題点の解決に貢献したということは事実である。しかし医学的な認識の理論にも、まだ解決されていない点がある。このような未解決の問題を含めて、従来の一切の認識論上の問題を一括して解決したのが統一認識論である。

認識論は、観念論と唯物論の対立という本体論的な問題ともかかわっている。また認識は、実践活動とも密接につながっている。したがって正しい認識論を確立しなければ、現実の問題を正しく解決できないということになる。そこで、従来の認識論の問題点を解決しうる新しい認識論が必要となるのである。ここにそのような要請にこたえるべく提示されたのが、統一思想に基づいた統一認識論である。

まず従来の主要な認識論について、その要点を紹介し、それらがもっている問題点を指摘することにする。次に統一認識論を紹介し、従来の認識論が解決できない問題を本認識論によって見事に解決することができるということと、従来のすべての認識論の核心が本認識論に含まれており、本認識論は文字どおりの「統一認識論」であることを明らかにしようとするのである。最後に、本統一認識論も他の部門と同様に、文鮮明先生の指導のもとで体系化されたことを明らかにしておく。