8歴史論 相対性の法則

(一) 相対性の法則

被造物一つ一つは、内的に互いに相対関係を結んでいる二つの要素をもっている。主体的要素と対象的要素がそうである。それだけでなく、個体は外的に他の個体との間に主体と対象の相対的関係を結ぶことによって、存在し、運動する。このような関係のもとで生物は生存し、繁殖し、発展する。ここで主体と対象が相対関係を結ぶということは両者が相対することを意味する。ところで主体と対象が向かい合って対するに際して、共通目的を中心として対する時と、共通目的なしに対する時がある。ここで主体と対象が共通目的を中心として互いに向かい合って対すること、すなわち相対関係を結ぶことを特に「相対基準を造成する」という。

このように一つの個体が必ず他者と主体と対象の相対関係を結ぶという事実を「相対性の法則」という。したがって社会(歴史)が発展するための必須条件は、政治、経済、文化、科学などのすべての分野において、主体と対象の相対的要素(相対物)が相対関係を結ぶことである。このような相対関係が形成されなくては発展がなされない。主体と対象の相対的要素とは、性相と形状、陽性と陰性、主要素と従要素(主個体と従個体)のことをいう。

その例として、精神と肉体、心と体、イデオロギーと経済的条件(物質的条件)、精神的文化と物質的文明、政府と国民、経営者と労働者、労働者と生産用具、機械の主要部分と従属部分などを挙げることができる。そのような例はそれ以外にも数多くある。そしてそのような相対的要素が主体と対象の関係を結ぶことによって、政治、経済、文化、科学などのすべての領域での発展がなされるのである。