8歴史論 授受作用の法則

2020年7月2日
(二)授受作用の法則

事物の内部において、主体と対象の二つの要素が相対関係を結ぶとき、一定の要素または力を授け受けする作用が起きる。主体と対象間のこのような相互作用を授受作用という。この授受作用が行われるところで発展がなされる。歴史の発展もこのような授受作用によってなされてきた。したがって歴史においても、あらゆる社会の分野で主体と対象の相対的要素(相対物)が相対関係を結んだのちに、共通目的を中心として円満な授受作用を行うときに、各分野での発展がなされたのである。

例えば国家が存在し繁栄するためには、政府と国民が国家の繁栄を目的として、主体と対象の関係を結んで円満な授受作用を行わなくてはならない。また企業の繁栄のためには、資本家、経営者、労働者、技術者、機械などが相互に主体と対象の関係をなして、円満な授受作用を行わなくてはならない。したがって「相対性の法則」と「授受作用の法則」は表裏一体の関係にあるのであり、この二つの法則を合わせて広義の「授受作用の法則」ともいう。

授受作用は調和的であり、決して対立的、相 衝的ではない。ところが唯物史観は対立物の闘争によって歴史は発展すると主張する。しかし闘争は発展のための一つの契機とはなりえても、闘争が行われる間は、かえって発展は停止するか、あるいは後退するだけである。だから発展に関する限り、唯物史観の主張は全く間違いであり、階級闘争を合理化するための偽装理論にすぎなかったのである。