8歴史論 相克の法則

(三) 相克の法則

授受作用は主体と対象の相対的要素または相対的個体の間に行われるが、主体と主体(あるいは対象と対象)は互いに排斥し合う。このような排斥現象を相克作用という。相克作用は自然界においては、本来、潜在的なものにすぎないのであって、表面化されるものではなく、主体と対象の授受作用を強化あるいは補完する役割をもっている。

例えば自然界において、陽電気と陽電気(あるいは陰電気と陰電気)は互いに排斥し合うが、これは主体(陽電気)と対象(陰電気)の授受作用を強化、補完するための作用なのであり、それ自体としては表面化されるものではない。したがって自然界においてはこのような相克作用によって秩序が乱されることはない。

ところが人間社会における主体と主体の相克作用は、二つの指導者の間の対立として現れる。革命時における新しい指導者と過去の指導者の対立がその例である。このような相克作用において、二つの主体(保守派の主体と改革派の主体)はそれぞれの対象層(人民大衆)と授受作用を行って各自の勢力を形成し、その結果、二つの勢力が対決するようになるのである。そのとき、二つの主体(指導者)の中の、一方は神の摂理により近い立場に立っており、他方はより遠い立場に立つようになる。前者を善の側といい、後者を悪の側という。したがって社会における主体と主体の相克作用は善悪の闘争として現れる。そしてその闘争において善の側が勝利すれば、歴史の進む方向は少しずつ善の方向へ転換してゆくのである。

しかし、たとえ堕落した社会であっても、相克作用はその本来の授受作用の補完性を現す場合もなくはなかった。例えば国家と国家、または民族と民族が平和的に競争しながら、文化的、経済的に共に発展していくという場合がそうである。