10論理学 基本的立場

二 統一論理学

(一) 基本的立場

思考の出発点と方向
従来の論理学は思考の法則や形式を扱っているが、統一論理学は、まず第一に、「思考の出発点」について考えるところから始める。すなわち「なぜ思考が必要なのか」ということから出発して、それから思考の法則や形式について考えるのである。

人間はなぜ考えるのであろうか。それは神が宇宙の創造に先立って、まず考えられたからである。つまり神は宇宙の創造に先立って、心情を動機として愛を実現しようとする目的を立てて、その目的に一致する内容を心の中に構想されたのである。それが思考であり、ロゴス(言)である。

したがって神に似せて造られた人間も、心情を動機として愛を実現するために、目的を立てて、その目的達成のために考えるのが本来の思考のあり方である。ここで目的とは、被造物においては被造目的であるが、そこには全体目的と個体目的がある。全体目的とは、愛でもって家族、隣人、民族、人類などの全体に奉仕して、全体を喜ばせようとすることであり、ひいては神に奉仕して神を喜ばせようとすることである。個体目的とは、自己の個人的な欲望を満足させようとすることである。結局、この二つの目的が人間の生きる目的であり、その目的を達成するために人間は考えるのである。全体目的と個体目的において、全体目的が優先されなくてはならない。したがって人間の思考は、一次的には全体目的を実現するために、二次的には個体目的を実現するためになされなければならない。個体目的も結局は全体目的のためにある。すなわち人間は本来、自己の利益を中心として考えるのではなくて、他人を愛するために考えるのである。これが本来の思考の出発点であり、方向である。

思考の基準
何が思考の基準になるのであろうか。存在論においても認識論においてもそうであるが、統一論理学はどの部門においても、論理展開の根拠を原相においている。だから思考の基準も原相にあるのであり、それは原相の論理的構造である。すなわちロゴス(構想)が新生される時に形成される、内的発展的四位基台である。それは、心情を基盤とした創造目的を中心として、内的性相と内的形状の間に行われる円満で調和のある授受作用のことをいう。

関連分野
統一論理学の本論に入る前に、もう一つ述べておきたいのは論理学の関連分野である。形式論理学は、他の分野との関連を扱っていない。そのため、その代案として弁証法的論理学や認識論理学が出現したのである。統一論理学における思考の出発点は神の愛に基づいた創造目的の実現にあり、その基準は原相の論理構造にあるので、関連分野は大変広いのである。なぜならば、思考の起源は神のみ言(ロゴス)つまり構想であるが、構想なしに営まれる文化分野は何一つないからである。

原相において、ロゴスが形成される内的発展的四位基台は、すべての万物が創造される「創造の二段構造」の一部である。したがってロゴスはみ言であると同時に、宇宙の法則として万物すべてを網羅しているのである。同様にロゴス(思考)の学問としての論理学も、すべての他の領域と密接に関連している。内的発展的四位基台は、外的発展的四位基台とともに創造の二段構造の一部だからである。

創造の二段構造における内的四位基台は論理構造となり、外的四位基台は認識構造や主管構造となる。認識構造とは、万物から認識を得る場合の四位基台として、主として科学(自然科学)研究の場合に造成される四位基台であり、主管構造は生産や実践、つまり産業、政治、経済、教育、芸術などの場合に造成される四位基台である。したがって論理構造を基盤とする論理学は、認識構造や主管構造を基盤とする、すべての文化領域と密接に関連しているのである。

原相の構造
ここで、原相の構造についてさらに説明する。すでに述べたように、原相の構造は内外二段の四位基台から成っている。それを「原相の二段構造」という。それに似た被造物の二段構造を「存在の二段構造」という。ところで原相構造における内外の四位基台は、心情中心の自同性と目的中心の発展性をそれぞれもつようになり、自同的および発展的四位基台となる。その際、内外の四位基台が共に発展的となる場合の原相構造を「創造の二段構造」という。

被造物は例外なく、すべてこの二種の二段構造に似せて造られたので、各個性真理体はみな「存在の二段構造」と「創造の二段構造」をもっている。だから人間において、論理構造、認識構造、存在構造、主管構造などはみな、それぞれ二段構造である。したがって、日常生活において人間が関連しているすべての四位基台は必ず二段の四位基台、つまり二段構造である。

これはまた、内的四位基台の形成に重点を置く領域と、外的四位基台形成に重点を置く領域は互いに補完関係にあることを意味する。例えば内的構造に重点を置く論理学や、外的構造に重点を置きながら主管活動の一分野を扱う教育論などは、相互補完関係にあるのである。要約すれば、人間社会のすべての二段構造は原相の二段構造に由来するのであり、すべて相互関連があるということができる(図10—10)。