1原相論 構造 四位基台の構成

2021年8月25日
(二) 四位基台の構成
(1) 四位基台の構成要素

すでに指摘したように、原相における性相と形状の授受作用は中心によって二つの結果を生じる。一つは合性体であり、他の一つは新生体である。すなわち心情が中心の時は合性体となり、目的(創造目的)が中心の時は新生体を生じる。このような二つの結果は、被造物相互間の授受作用においても同じである。被造物の授受作用が原相内の授受作用に似ているからである。

これは、授受作用に二つの種類があることを意味する。すなわち心情が中心で結果が合性体である場合の授受作用と、目的が中心で結果が新生体である場合の授受作用がそれである。前者は性相と形状が授受作用をして中和体を成す場合であり(『原理講論』四七頁)、後者は性相と形状が授受作用をして神の実体対象を繁殖する場合(同上、五四頁)、すなわち万物を創造する場合をいう。これを図に表すと図1—5のようになる。

このような授受作用は被造物、特に人間においても現れる。人間は心と体の統一体であるが、それは目的(創造目的)を中心として性相と形状が授受作用によって合性体を成している状態である。また人間は心において構想し、その構想に従って手と道具を動かして絵を描いたり彫刻を彫ったりする。これを原理的に表現すれば、目的(作品を造ろうとする目的)を中心として性相と形状が授受作用をして新生体を造るということである。

合性体を成す場合の授受作用において、授受作用の前後の性相と形状は本質的に異なったものではない。すなわち性相も形状も授受作用の前後で同じである。ただ両者が結合して一つに統一されただけである。例えば男女の結婚において、男は結婚の前にも後にも同一の男であり、女も結婚の前にも後にも同一の女である。ただ違うのは、結婚後は男女が一体になったという点である。ところが新生体を成す場合の授受作用においては、授受作用をする前の性相と形状と、授受作用をした後に現れた結果とは本質的に異なっている。授受作用の結果、新生体が造られるからである。

ここで前者すなわち合性体を成す場合の授受作用を自己同一的授受作用または簡単に自同的授受作用といい、後者すなわち新生体を生じる場合の授受作用を発展的授受作用という。この両者を変化と運動という観点から見るとき、前者は授受作用の前後で性相と形状が変化しないから静的授受作用ともいい、後者は授受作用によって変化した結果として新生体が現れるから動的授受作用ともいう。

ところで、性相と形状の授受作用は、位置という観点から見るとき、実は主体と対象間の授受作用なのであり、それに中心と結果の位置を含めると、主体と対象の授受作用は結局、四位基台形成なのである。したがって位置的に見るとき、自同的授受作用は自同的四位基台となるのであり、発展的授受作用は発展的四位基台となるのである。このようにして四位基台には合性体を成す自同的四位基台と、新生体を成す発展的四位基台の二つの種類があることが分かる。

(2) 内的四位基台と外的四位基台

ところで四位基台には、そのほかにまた異なる二種類の四位基台がある。それが内的四位基台と外的四位基台である。この二種類の四位基台は授受作用に内的授受作用と外的授受作用があることから説明される。

「原相の内容」において、本性相は機能的部分と対象的部分の二つの部分から成っていることと、機能的部分を内的性相、対象的部分を内的形状と呼ぶことを明らかにした。すなわち本性相の内部に性相と形状があるということである。

本性相を中心として見るとき、その内部にも性相(内的性相)と形状(内的形状)があり、外部にも性相(本性相)と形状(本形状)があるということになる。性相と形状が共通要素を中心として相対的関係を結べば必ず授受作用が行われる。したがって外部の本性相と本形状の間のみならず、内部の内的性相と内的形状の間にも授受作用が行われる。前者を外的授受作用といい、後者を内的授受作用という。この内的授受作用にも中心(心情または目的)と結果(合性体または新生体)が含まれるのはもちろんである。内的授受作用によって内的四位基台が、外的授受作用によって外的四位基台が形成される。これを図に表すと図1—6のようになる。

本性相を中心とする内外の授受作用は、人間においては内的生活と外的生活に相当する。内的生活とは内面生活すなわち精神生活を意味し、外的生活とは他人と接触しながら行う社会生活をいう。内的生活も授受作用であり外的生活も授受作用であるが、内的生活は心の内部で行われる授受作用すなわち内的授受作用であり、外的生活は他人との間に行われる授受作用すなわち外的授受作用である。そして、その由来がまさに原相の本性相の内的授受作用と外的授受作用なのである。このように本性相に由来する内的および外的授受作用は、人間のみならず、すべての被造物の個体において例外なく現れているのである。

すでに述べたように、性相と形状の関係は主体と対象の関係であり、中心と結果を含めた主体と対象の授受作用は四位基台形成であった。したがって位置的に見るとき、内的授受作用は内的四位基台を意味し、外的授受作用は外的四位基台を意味する。すなわち、本性相は内外に四位基台を形成しているのである。原相における性相を中心として見た、このような内的四位基台と外的四位基台の構造を「原相の二段構造」と呼ぶ。そして被造物も原相の構造に似て、個体ごとに内外に四位基台を形成しているので、それを「存在の二段構造」というのである。

(3) 原相の二段構造と存在の二段構造

すべての被造物は例外なく本性相に由来した内的および外的授受作用を現している。言い換えれば、すべての被造物が存在するために、例外なく内的四位基台および外的四位基台を形成しているのである。原相における授受作用は、心情または創造目的を中心とした円満で調和的な相互作用である。したがって万物は例外なく創造目的を中心として、円満な内的および外的な授受作用をなして内的および外的な四位基台を形成している(21)。ところが人間は内的生活(精神生活)すなわち内的四位基台と外的生活(社会生活)すなわち外的四位基台の形成において、心情(愛)や創造目的を中心とすることができず、自己中心になってしまい、相衝、葛藤、対立、闘争、紛争などの社会混乱を引き起こしているのである。

したがってこのような性格の社会混乱(現実問題)を根本的に収拾する道は、人間が内的および外的に本然の四位基台を形成することである。つまり本性相を中心とした内的四位基台および外的四位基台の理論もまた現実問題解決の基準になるのである。そのように、原相内の内的四位基台および外的四位基台は被造物の存在方式の基準となっているのである。

以上、原相における内的および外的な四位基台から成る「原相の二段構造」と、被造物における内外の四位基台から成る「存在の二段構造」について説明した。創造の相似の法則によって「存在の二段構造」は「原相の二段構造」に似ているのである。これらを図で表せば、図1—7および図1—8のようになる。