神様は天の父母様
統一思想は、世界平和統一家庭連合および統一運動の創始者である文鮮明・韓鶴子総裁ご夫妻の、啓示による思想であり理念です。この理念によって人類の直面する世界の現実的難問題を解決しようという強い指向性を持っています。
文先生が語られたみ言を韓国の初代統一思想研究院院長の李相軒氏(1914-1997)が思想的に体系化したものを基本としています。
統一思想は科学時代の今日、宗教の差異を越えて、すべての人々に受けいれられる新しい科学的な神観を提示していますが、神の真理と愛を核心とする思想という意味から「神主義」(Godism)、また、右翼でも左翼でもなく、より高い次元において両者を包容しうる理想という意味から頭翼思想(Head-Wing Thought)ともいいます。
神の愛を中心とした新しい価値観による愛の精神をもって、左の思想である共産主義からは、憎悪心、闘争心、物質主義を取り除き、右の思想である民主主義からは利己主義、集団利己主義を取り除いて、対立する両者を和解せしめて、人類一家族の理念(One Family under God)を実施すると同時に、人類のあらゆる難問題を根本的に解決することによって、永遠なる神の愛の理想世界実現しようとする神の思想です。
統一思想が示す神観の一つの特徴に、神様は「父なる神」のみならず「母なる神」でもあり、両者を兼ね備えた「天の父母様」であるというものがあります。ここから男女の完全な平等が導き出されます。
韓鶴子総裁は御自身の自叙伝で次のように述べていらっしゃいます。
ーーー神様の願いは、人類の真の父母になり、「神様のもとの人類一家族」理想を実現することでした。「父なる神」だけでなく、「母なる神」、すなわち「天の父母様」となり、個人、家庭、氏族、民族、国家、世界が神様を父母として迎え、神個人、神家庭、神氏族、神民族、神国家、神世界になるように導くことでした。しかし、人間始祖の堕落によってこのような天の父母様の創造理想実現は延長され、「天の父母」の立場ではなく、神様の男性格である「天の父」の立場を中心とした、男性中心の歴史が展開されたのです。西洋文明の根幹を形づくったへレニズムとヘブライズムも、みな総じて男性を中心とした歴史を綴ってきました。したがって、神様の女性格である「天の母」の立場は隠され、神様は「天の父母様」になることができなかったのです。西洋社会で起こったフェミニスト運動が、男性による支配に対抗する単なる革命運動になってしまったのも、このような西洋における神様の存在論的な立場と関係があります。ーーー(韓鶴子総裁自叙伝『人類の涙をぬぐう平和の母』p.4より)
統一思想の基本的なテキストである『統一思想要綱』は次のような十一の章から成っています。
1.原相論(神の存在とその属性に関する理論)
2.存在論(万物・自然界に関する理論)
3.本性論(人間の本性に関する理論)
4.価値論(絶対的価値観に関する理論)
5.教育論(教育のあり方に関する理論)
6.倫理論(道徳・倫理の根拠に関する理論)
7.芸術論(芸術のあり方に関する理論)
8.歴史論(歴史を導いている原動力と法則に関する理論)
9.認識論(認識はいかになされるかに関する理論)
10.論理学(思考はいかになされるかに関する理論)
11.方法論(真理を探究する方法に関する理論)
文鮮明師は、統一思想に関して「万能の鍵である」と語られています。
「神の真理は一定の摂理的人物を通じて地上に伝達されます。神の真理は絶対真理であります。絶対真理は万能のキー(鍵)のようなものであって、この真理を適用すればいかなる難問題をも解くことができるのであります。私はかつて長いお祈りと瞑想の生活において、ついに実在する神に出会い、この絶対真理を授かりました。それは全宇宙と人生と歴史の背後に隠されたすべての秘密を明かにした驚くべき内容でありました。この内容を社会に適用すれば、社会問題が解かれ、これを世界に適用すれば、世界問題が解けるのでした。のみならず、宗教の未解決問題、哲学の未解決の問題も解けるのでした。・・・・・・特にこれを共産主義の理論批判に適用したとき、共産主義のすべての虚構性が白日の下に暴露されると同時に、共産主義に対する代案も立てられるのでした。またダーウィンの進化論批判に適用したとき、進化論の矛盾が明かになり、それに対する代案も立てられるのでした。これはかつてなかった新しい人生観、世界観であり、新しい摂理観、歴史観でありました。この真理はまたすべての宗教教理や哲学の特性を生かしながら、全体を一つに抱擁し得る統合原理でもあったのです。私はこの思想を統一思想または神主義と名付けました。」(1985年12月16日「国際勝共安保決議大会」)