1原相論 神相 個別相

(3) 個別相

個別相とは何か
上述した性相・形状および陽性・陰性は神の二性性相であって、この二種の相対的属性は、あまねく被造世界に展開されて、普遍的にすべての個体の中に現れている。聖書に「神の見えない性質、すなわち、神の永遠の力と神性〔および神相〕とは、天地創造このかた被造物において知られていて、明らかに認められるからである」(ローマ一・二〇)と記録されているのは、この事実を言っているのである。このように、万物はみな普遍的に性相・形状および陽性・陰性をもっている。したがって神の性相・形状および陽性・陰性を「普遍相」という。

一方で、万物は独特な性質をもっている。鉱物、植物、動物にいろいろな種類があるのもそのためである。天体も、恒星であれ惑星であれ、みな特性をもっている。特に人間の場合、個人ごとに独特の性質をもっている。すなわち、体格、体質、容貌、性格、気質など、個人ごとに異なっているのである。

万物と人間のこのような個別的な特性の原因の所在は、神の本性相の内部の内的形状にある。このような個別的な特性の原因を「個別相」という。言い換えれば、神の属性の中にある個別相が被造物の個体または種類ごとに現れたものを被造物の個別相という。そして人間においては個人ごとに特性が異なるために、人間の個別相を「個人別個別相」といい、万物においては種類によって特性が異なるために、万物の個別相を「種類別個別相」という。すなわち人間においては個別相は個人ごとの特性をいうが、万物(動物、植物、鉱物)の個別相は、一定の種類の特性すなわち種差(特に最下位の種差)をいう。それは、人間は神の喜びの対象および神の子女として造られているのに対して、万物は人間の喜びの対象として造られているからである。

個別相と普遍相
ここで被造物の普遍相と個別相との関係を明らかにする。個別相は個体の特性であるとしても、普遍相と別個の特性ではなくて、普遍相それ自体が個別化されたものである。例えば人間の顔(容貌)がそれぞれ違うのは、顔という形状(普遍相)が個別化され特殊化されたものであり、人間の個性がそれぞれ異なるのは、性格、気質という性相(普遍相)が個別化され、特殊化されたものである。そのように人間において個別相とは、個人ごとに普遍相が個別化されたものであり、その他の被造物においては、種類ごとに普遍相が個別化されたものである。

被造物において、このように普遍相の個別化が個別相であるのは、神の内的形状の中にある被造物に対する個別化の要因すなわち個別相が、神の性相・形状および陽性・陰性を個別化させる要因として作用しているからである。ここで神の普遍相を「原普遍相」といい、神の内的形状の中にある個別相を「原個別相」とも呼ぶ。したがって被造物の普遍相と個別相は、原普遍相と原個別相にそれぞれ対応しているのである。

個別相と突然変異
次に個別相と遺伝子の関係について述べる。進化論から見るとき、一般的に生物の種差としての個別相の出現は、突然変異による新形質の出現と見ることができる。そして人間の個性としての個別相の出現は、父のDNAと母のDNAの多様な混合または組み合せによる遺伝として見ることができる。

しかし統一思想では、進化論は創造過程の現象論的な把握にすぎないと見るために、生物における突然変異による新形質の出現は、実は突然変異の方式を取った新しい個別相の創造なのであり、人間における父母のDNAの混合による新形質の出現も、実はDNAの遺伝情報の混合の方式を通じた人間の新個別相の創造と見るのである。より正確にいえば、生物や人間の新しい個別相の創造とは、神の内的形状にある一定の原個別相を、これに対応する被造物に新個別相として付与することである、と見るのである。

個別相と環境
個別相をもった個体が成長するためには、環境との間に不断の授受関係を結ばざるをえない。すなわち個別相をもった個体は、環境との授受作用によって変化しながら成長し、発展する。これは授受作用の結果によって必ず合性体または新生体(変化体)が形成されるという授受法の原則によるのである。

したがって個体の特性(個別相)は原則的に先天的なものであるが、その個別相の一部が環境要因によって変化するので、あたかもその特性が後天的に形成されたかのように感じられる場合がある。同一の環境要因によって現れる特性にも、個人ごとに差異があるのが見られるが、これは環境に適応する方式(授受作用の方式)にも個人差があるからである。その個人差も個別相に基因する個人差である。このように、個別相の一部が変形されて後天的に形成された特性のように現れたものを「個別変相」という。

人間個性の尊貴性
およそ被造物の特徴は、神の属性の個別相に由来するものであって、みな尊いものであるが、特に人間の個性はいっそう尊厳なものであり、神聖であり、貴重なものである。人間は万物に対する主管主であると同時に、霊人体と肉身から成る二重体であって、肉身の死後にも霊人体が永生するからである。すなわち人間は地上においても天上においても、その個性を通じて愛を実践しながら創造理想を実現するようになっているために、人間の本然の個性はそれほど尊貴なものであり、神聖なものである。人道主義も人間の個性の尊貴性を主張しているが、個人の特性の神来性が認められない限り、そのような主張によっては、人間を動物視する唯物論的人間観を克服するのは難しい。そのような意味で個別相に関する理論も、なぜ人間の個性が尊重されなければならないかという、また一つの現実問題の解決の基準になるのである。

以上で神相に関する説明を終わり、次は神性について説明する。