1原相論 構造 原相構造の統一性

2021年8月25日
(五) 原相構造の統一性

すでに述べたように、原相構造とは、神相における性相と形状の相互関係であり、その関係が明らかにされることによって、多くの現実問題の根本的な解決が可能になったのである。それは大部分の現実的な難問題は関係上の問題であって、関係の正しい基準から逸脱したことによって引き起こされた問題であったからである。言い換えれば、原相構造が明らかにされることによって、関係の本然の基準が明らかになったために、すべての問題が根本的に、また恒久的に、解決されるようになったということである。ここで原相構造に関してつけ加えることは、原相の説明において、なぜ構造という概念が必要なのかということと、構造という面から見た原相の真の姿はいかなるものかということである。

本来、構造という用語は、一定の材料によって造られた構成物、例えば建築物や機械などに関して、その材料の相互関係を表すときに用いられる。また、いろいろな有形物の仕組みを分析して研究するときに用いられる。例えば人体構造、社会構造、経済構造、分子構造、原子構造などがその例である。すなわち事物を分析し、研究するとき、構造の概念が必要なときが多いのである。そのような側面を拡大適用すれば、意識や精神など無形的存在を分析するのにも使うことができるであろう。実際、意識構造とか精神構造という用語が使われているのである。

無形なる神の属性の関係を調べるのに構造の概念を使用したのは、まさにそのような立場からである。すなわち構造の概念を用いることによって、神の属性、特に性相と形状との関係を詳細に分析することができるからである。しかし、いくらそうであっても、そして性相と形状の相対的関係にいろいろな種類があるとしても、原相の世界は時空を超越した世界である。それでは構造概念または時空概念から類推する原相の真の姿は、いかなるものであろうか。

それは一言で、統一性であると表現するしかない。空間がないために位置がなく、したがって前後、左右、上下がなく、内外、広狭、遠近がなく、三角形、四角形などの空間もない。無限大と無限小が同じであり、すべての空間が一つの点にすべて重畳されている多重畳の世界である。それと同時に、上下、前後、左右、内外が限りなく広がっている世界である。

また、原相の世界は時間のない世界である。したがって時間観念から類推すれば、過去、現在、未来が今の瞬間に合わさっている。それはあたかも、映画のフィルムの一巻きの中に過去、現在、未来がみな入っているのと同じである。時間も瞬間の中に合わさっている。すなわち瞬間の中に永遠があり、瞬間が永遠へつながっているのである。したがって瞬間と永遠が同じである。これは、原相の世界が一つの状態(性相と形状、陽性と陰性が統一された状態)の純粋持続であることを意味する。いわば「状態の純粋持続」が原相世界の時間である。

要約すれば、原相の世界は純粋な「統一体」である。空間と時間だけでなく、その他のすべての現象(堕落と関連した非原理的な現象は除いて)の原因が、重畳的に一点に統一されている世界である。言い換えれば、時間、空間をはじめとする宇宙内のすべての現象は、この統一された一点から発生したのである。あたかも一点から上下、前後、左右に無限に長い直線を無限に多く引くことができるように、この統一性から時空の世界が上下、前後、左右に無限に広がっているのである。

それゆえ宇宙がいくら広大無辺で、宇宙の現象や運動がいくら複雑であるとしても、その時空と現象を支配している基本原理は、この一点、すなわち統一性にあるのである。それが統一の原理であり、授受作用の原理であり、愛の原理である。例えば授受作用の土台である四位基台という一点(原点)から空間が展開されたのであり、正分合作用という一点から時間が展開されたのである。